イエローナイフは朝

それが人生

友人に「人の好意を金で買ってる」と言われた話

久しぶりに昔からの友人と会ったときの話。

お互い社会人になってからも変わらず会っていて、その時も久しぶりに会えたということで近況を報告しあっていた。仕事はどうだとか、恋人がどうだとか、職場の先輩がムカつくとか、そんな他愛のない話をしてた。

 

その中で、私が何気なく、「お金が貯まらないんだよね」という話をした。

薄給の上に生活費、車の維持費、趣味、元々浪費癖もあるのか、貯めようと思ってもなかなか難しい。そんな話をしたら、「頑張りなよ-」と言いながら笑って聞いてくれてた。

その後に、「それに、会社の人におやつとか買ってったりしちゃうからさ~」なんて話を何も考えずに話したら、友人がえっ?という顔をした。

友人「おやつ?買ってくの?」

私「うん、忙しいときとか皆大変だろうしと思って、お昼買いに行ったついでにコンビニでスイーツとか買って、配ってる」

友「えっ!?なんでそんなことしてるの?」

私「なんで!?なんでって言っても……疲れてる時にそういうのあったら嬉しくない?他の人も買ってきてくれたりするし、私もお返しみたいな感じで」

友「それってさ……人の好意をお金で買ってるみたいじゃない?

 

……えっ?

衝撃だった。

 

友「それさ、スイーツとか買っていって、喜んでもらおうと思ってるんでしょ?そういうもので自分の好感度を上げようって気持ちがないって言える?」

私「こ、好感度?いや……そりゃ喜んでほしいとは思ってるけど……」

友「さっきお金が貯まらないとか言ってたけど、そんなことしてたら貯まらないに決まってるよ。はっきり言って無駄だよ。その分貯金に回した方がよっぽど経済的だと思う。それに、そうやってお金で買った人間関係よりも、そうじゃないところで築かれた人間関係の方が本物だと思う」

 

この時、私は新しい概念に打ちのめされていた。まさか自分が意識してないところで人間関係を金で買っていたのかもしれないなんて、と思ってショックを受けていた。自分が気付かなかっただけで、そんな卑しいことを考えていたのかな?と思うと、うまく反論出来なかった。

 

だけど、これを別の人に話したところ、「それは違う」と言ってくれた。

友人2「それは違うでしょ、お前がやってるのは人間関係への投資だと思うよ」

私「投資?」

友2「例えばおやつを買っていったりする時に、好感度を上げようとか、後でお返しをしてもらおうって気持ちだったり、お返しがなくて怒りの感情が沸いたりしたらお金で好感度を買おうとしてるって言えるけど、そうじゃないなら違うと思う。純粋にその人のことを思ってやってるなら受け取り手が一番分かるはずだし、その人を見てれば好感度を上げようとしてやってるかって分かるから」

私「あ~、確かに見返りは求めてないかな。好きでやってることだし、たまに『この前のお返し』とか言われてもなんのことだっけ?ってなるし」

友2「それなら良いんじゃない?そういう積み重ねで勿論好感度が上がることもあると思うけど、それはその人の人柄を見て上がるものだから、単純に物で上がってるものじゃないと思う」

 

この言葉を聞いて、なんだかほっとした。

今まで好きでやってきてたことが、自分の気付かない意識のところで金で買っていたのか?と非常に悩んでしまっていたのがスッキリしたといった感じ。

 

今こうやって書いていると、いくつか気になるところがあった。

まず、「金をかけない人間関係こそ本物」とは一体何なのだろう。

その時はなんとなく流されてしまったけど、この意味は今でもよく分からない。金をかけると本物じゃなくなってしまうんだろうか。風俗と恋人の違いみたいな?でも風俗だってちゃんと関係が成り立ってるわけだし、偽物というわけじゃない。いやなんか違う、この話はやめておこう。

それに気になったのは、その友人の人間関係の希薄さだ。その友人は人付き合いが苦手で友達も少ないし、会社でも苦労しているらしい。「お金で好意を買う」という発想が出てきてしまうこと自体、人と関係を築いていくことが難しいという人柄が出てしまってるんじゃないかと感じてしまった。大事な友人なのだが、こういう考え方があるのは寂しいし、他の場所でも良い人間関係を築いてほしいと思う。

 

この話を書きながら、ふと前に会った時のことを思い出した。

一緒に映画を見に行こうと言った日に、その友人が寝坊した。

「ごめん!ちょっと遅れる!ダッシュで準備する!」

とメールがきたので、迎えに行く途中で少し早めに出てコンビニに寄って、友人の朝ご飯を買った。飲むヨーグルトと、小さいクロワッサンが何個か入ってる袋を選んだ。

友人が慌てて車に乗ってきたときに、「朝飯買ってきたから食べな。朝そんなに食べられないかもしれないと思っていくつか入ってるクロワッサンにしたから、食べられる数だけ食べな」と言った。

そしたら友人は「や、優しい…神……!」と感動してた。その後もずっと「気が利くよね」「ありがとう」と言ってくれていた。良かったな~なんて思ってほっこりした。

 

これと同じことなんだけどなぁ、思い出してくれると良いなぁ。